ペプチ

コント等をしています。(Twitter: @pepuchi_yan)

キャバクラに行きたい

僕は田舎に住んでいたので、保育園に通っていた頃も周りを見ればヤンキー予備軍みたいな人が多かった。

 

ある日僕が一人で砂場で遊んでいると、上の学年のヤンキー予備軍の女子二人が、落とし穴を作ろうとしていた。話を聞いていると、どうやら好きな男の子を落とし穴に落として、驚く顔が見てみたいということであった。好きな子をいじめてしまうというのは幼い頃によくあることだが、「驚く顔が見てみたい」というのは屈折した感情だなと思った。

その女子二人はまず、落とし穴の作り方を先生に聞きに行った。満足気な表情で戻ってきた彼女たちは早速穴を掘り始め、砂場にはまあまあ大きな穴が完成した。この二人が落とし穴に落とそうとしている男の子は、上の学年のヤンキー予備軍で普段から弱い者いじめを働くやつだったので、僕は是非このいたずらを成功させて欲しいと願いながら見守っていた。

 

穴を掘り終えて一息ついた彼女たちは、「よし、あとは隠すだけだべ」と言い、どういうわけか、穴を埋め始めた。意味が全く分からなくて怖かった。

どうやら教えられた落とし穴の作り方を勘違いしているようであったが、さすがに分かるだろと思った。たったいま掘ったばかりの穴を埋めている彼女たちは、とても情緒不安定に見えた。

ついに彼女たちは、穴を埋めつくしてしまった。そして、「あとは葉っぱで隠さないと。」と言い放ち、どこからか集めてきた葉っぱを散りばめて、埋めた穴を隠していた。

 

葉っぱが落ちているだけの砂場を完成させた彼女たちは、やりきった表情でお互いの顔を見合わせていた。そしていよいよターゲットのヤンキー予備軍を呼びに行こうかという時、彼女たちが一瞬立ち止まった。そして、「これ、なんて言って踏んでもらったらいいんだろう。ここ踏んでよって言ったらわざとらしくね?」と言った。そこまで頭が回るならどうして、と思った。彼女たちは、「この上にさ、砂でケーキ作ってさ、かわいこぶって『ケーキ作ったよ!』とか報告すれば、あいつ嫌なやつだから踏み潰してくれるべ。」と、女性の恐ろしさを垣間見せる作戦を立てていた。

ケーキを完成させた彼女たちは、満を持してターゲットを呼び、ケーキの完成を披露していた。ターゲットのヤンキー予備軍は、狙い通りケーキを踏み潰して、帰っていった。彼女たちは、ただただ放心状態になっていた。

 

彼女たちは、今、地元のキャバクラで働いている。