人妻とシャボン玉
昨日ライブ前の空いた時間で公園で軽食を食べながらぼーっとしていたら、奥様方が子どもを遊ばせながら雑談をしていた。ふいに奥様の一人が、「シャボン玉して遊ぼうね」と子どもに持ちかけた。奥様はカバンの中からシャボン玉セットを取り出し、数多のシャボン玉を公園内に飛ばし始めた。
奥様方は、
「なんかこのシャボン玉全然割れないのね。」
「そうなの。これ、割れにくいシャボン玉らしいの。」
「へぇ~。すごい時代になったものね。」
などといった平和な会話を繰り広げていた。その横で、僕の服には大量のシャボン玉が割れずにピッタリとくっついていた。なんか奥様方の前で服についたシャボン玉を払うのも角が立つので、僕は携帯をいじるふりをしながら、自分の服に次々とシャボン玉がつくのをじっと我慢していた。
僕の服に20個か30個くらいシャボン玉がついた頃、奥様方が僕に気づいたようで、急に黙りだし、笑いをこらえているかのような空気が流れ始めた。すごい時代になったものだなと思った。
帰りに電車に乗っていたら、お母さんとおばあちゃんと子ども二人の計四人の家族連れが乗ってきた。僕が席を移動すれば四人並んで座れる形だったので、別の席に座った。これがカップルだったら死んでも移動しないけど、家族連れだったので移動した。カップルだったら、死んでも移動しないけど。
家族連れは、僕が空けた席には座らず、電車の両サイドに二人ずつ座った。せっかく移動したのにと思って恥ずかしかった。僕が最寄り駅に着いて降りるとき、おばあちゃんが勝ち誇ったかのような顔で僕をじっと見てきた。すごい時代になったものだなと思った。