クリスマスイブに一人でただ渋谷に立ってた話
クリスマスイブの今日、異常に暇だったので、渋谷の街に一人でずっと立っていた。
街は異常な盛り上がりを見せており、カップルやイケメン・美女たちがサンタクロースの格好で練り歩いていた。
僕はオタクだしガリ勉だし全然モテないので、ただただ羨ましい気持ちで彼らを見ていた。
途中、カップルに、写真を撮ってくれないかとお願いされたが、日本語が分からないふりをして断った。だがカップルたちは、「日本語が分からなくてもさすがにこの感じでカメラ渡してるんだから写真を撮って欲しいことぐらい分かるだろ」と思ったようで、けっこう粘ってきた。僕は、「このカップル、賢いな」と思った。僕はカメラという文化すら知らないふりをして、なんとかその場をやり過ごしたのだった。カップルは最後、ちょっとキレていた。
フリーハグをしている方々もいた。とてもイケメンだった。僕は「みんなイケメンだな」とだけ思った。特にそれ以外の感情はなかった。「みんなイケメンだな」とだけ、思った。
通りすがりのカップルがフリーハグの方々を見て、「フリーハグだって。きも~」とディスりながら、道端でキスしていた。僕は、なんか日本やばくなってきたな、と思った。
夜が更けるにつれてさらに街は浮かれていった。
中には、女の子同士でキスをして歩きまわっている集団もいた。それはクリスマス関係ないだろ、と思った。
そんなある時、大勢のイケメンと美女たちがどこからかやってきて一箇所に集まり、集合写真を撮ろうとしていた。
僕は、その集団のうしろにこっそりと位置取り、無表情で写真にうつりこんだ。全然、ばれなかった。