ペプチ

コント等をしています。(Twitter: @pepuchi_yan)

時代を築く人

僕はaikoさんが15年近く好きだ。aikoさんの作るメロディがとても天才的だと思うし、歌声、ライブで繰り広げるトークの愉快さなど、魅力を挙げればきりがない。

 

aikoさんは、茅ヶ崎のビーチで8月に無料の不定期ライブをやっている。このライブは毎回ものすごい人数が押し寄せてくる。aikoさんのことが好きな人も、近くに住んでいるから来たという人も、とにかく沢山の人でごったがえす一大イベントだ。

 

去年の8月、僕はこのライブに一人で足を運んだ。隣で若い男の子の集団が、「俺aikoとかよく知らねえわ。」「もう待ってんの疲れた。早く始まらねえかな。」などと愚痴をこぼしていた。想像力の欠如は恐ろしいなと思い悲しい気持ちになりながら、僕は黙ってライブの開演を待った。

 

ライブが始まり、花火・ボーイフレンド・カブトムシなど、aikoさんの定番曲によって観客はどんどんと魅了されていった。

そうした僕たちの温かい声援に見守られながら、大盛況のうちにライブは幕を閉じた。終演直後、例の若い男の子たちを見ると、完全に目がうつろになっていた。彼らは、うわ言のように、「やべえ…aikoやべえ…俺めっちゃ好きになったわ…」「絶対また来ような…」と言っていた。めちゃめちゃ分かりやすい逆転劇じゃねえかと思った。やはりaikoさんのように時代を築いてきた人の底力は、本当にすさまじいなと思った。僕はとても温かい気持ちになり、うっすらと微笑みながら会場のビーチを出口に向かって歩いていると、浜辺の暗がりでカップルがキスをしていた。ふざけてんじゃねえぞと思った。