ペプチ

コント等をしています。(Twitter: @pepuchi_yan)

公務員の闇

中学校の校長先生が、ユニークな人だった。理科が好きで(昔は理科の先生をしていたらしい)、理科の実験があるとたまに覗きに来たりするちょっと気持ちの悪いおじいさんだった。

先生は、「いくつになっても科学にわくわくしちゃう人」というキャラを作ろうとしているようなところがあった。たまに放課後になると校庭に出て、ゴムで射出する飛行機のおもちゃを飛ばしていたりした。生徒に「何してるんですか?」って聞いてきて欲しい空気が全身からほとばしっていた。僕たちは部活をしていたし、あまり広くない校庭だったので、正直どいてくれないかなと思っていた。

 

こうして飛行機などで遊んでいると、ヤンキーに見つかり、先生はよくヤンキーにからまれていた。ある日、いつものようにからまれている先生を遠巻きに見ていると、ヤンキーが「俺にも遊ばせろよ」と言っているようで、先生は飛ばし方を説明していた。ヤンキーはおそらく最初から悪意を持って先生に接触していたので、飛行機の飛ばし方も乱暴だった。結局飛行機は乱暴さに耐え切れず壊れてしまい、先生はただただ悲しそうな顔をした。ヤンキーが去った後、先生は苦笑いを浮かべながらボロボロの飛行機を見つめ、「あらあら…こんなボロボロになっちゃって。でも、いいんだ。子どもたちの好奇心を刺激できたんだから。それがこの飛行機の役目だったんだから。」とでも自分に言い聞かせているかのような表情で満足気に帰っていくのだった。そのキャラつらくないのかなと思った。

 

それから数日後、校長先生は、何があったのか知らないが、学校でも指折りのワルの先輩を、激怒しながら全力で追いかけていた。キャラが崩壊したおじいさんてあんまり見たくないものだなと思った。