ハイパー冠婚葬祭
この間、おじいちゃんの何回忌かで実家に帰った。親戚たちは以前にも増してブラックだった。
まずは前回行われた、「次は誰が死ぬかダービー」の答え合わせから入るという飛ばしっぷりだった。親戚のおじいちゃんは「俺はテルちゃんが次死ぬって当てたからな」と10回くらい言い、親戚のおばあちゃんは「誰!結局、一番的中率高かったの誰!ちょっと静かに!結局誰!」などと、愚かな争いの勝者を決することに夢中になっていた。
最終的にそのおばあちゃんが、「もう。み〜んな、いなくなっちゃうんだもんなあ…」とめちゃくちゃ寂しいことを口にし、みんな悲しげな顔で微笑むのみという状態に突入したので、いや、そうなっちゃうならそんな話するなよと思った。
それから徐々に愉快な雑談モードに戻り始めたのも束の間、再びブラックな心に火がついてしまった皆さんは、おじいちゃんがそこらじゅうを徘徊していたときのエピソードを爆笑しながら話していた。「徘徊してたとき、あそこの崖をかすり傷ひとつ負わずに降りていったこともあったな。たいしたもんだわ。」みたいな、お前完全に馬鹿にしてるだろという発言もいくつか見受けられた。
なんか、でも、いざ墓参りをすると、こいつらは抜群の演技力を発揮し、異常なまでに悲しげな顔をして「アニキ、遊びにきたよ〜」などとお墓に話しかけるので、結局どれだけブラックな発言も兄弟や親戚ならではの愛情の裏返しなのだと思ってしまう。本当にずるい連中だと思う。
僕も線香をあげ、ふとお供えものを見た。ホットケーキが大好きだったおじいちゃんのお墓に、ホットケーキミックスが供えられているのを見つけて、なんか愛だなと思って、泣きそうになった。親戚のおばあちゃんに、「ホットケーキミックスあげたんだね」と言うと、彼女は「ああ、これね。あえてホットケーキ作らずにホットケーキミックスの状態で供えてみたの。おじいちゃんウケるかなと思って。」とわけのわからないことを言い始めた。続けて彼女が「大好物が粉の状態で供えられて、生き地獄でしょうね」と言うと、隣で親戚のおじいちゃんが「いや生きてないわ」と発言し、場に大きな笑いが起きたのだった。僕は特に笑わなかった。
なんでこんなやつらの行いで泣きそうになったんだろうと後悔したが、結局、この人たちの関係性は、なんかうらやましいなと思った。