ペプチ

コント等をしています。(Twitter: @pepuchi_yan)

あなたの髪を切らせてください

この間、電車に乗って座っていると、一組のカップルが乗り込んできた。

僕の隣に女性のほうが座ったが、あいにく席は一つしか空いていなかったので、男性は女性の前に立っていた。他にも空いている席はあったので、僕が移動すればその二人は隣同士で座れたのだが、カップルなので、僕は絶対移動しなかった。

 

隣で会話を聞いていると、「彼氏いないの?」などといった会話を繰り広げていたので、どうやらその二人はカップルではないらしかった。僕は少しだけ申し訳のない気持ちになってきたので、席を移動しようか迷っていると、前に立っている男性が、急に女性の髪の毛を撫で回しはじめ、「お前、毛先傷みすぎだろ。今度俺が切ってやるよ」と、非常にあれなことを言い始めた。非常にあれだなと思った僕は、絶対に席は譲るべきでないと確信した。

女性はおっとりした感じの方で、髪の毛を触られていることになんの抵抗も示していなかった。僕は、「もしかしたらこいつらは、二人して、あれなところがあるのだろうか」と思った。

 

その後男性は、自信満々に「じゃあ、今からうちくる?切ってやるよ」と言った。女性は、即座に「行きません。◯◯さん、変な噂あるじゃないですかぁ。」と言った。男性が「変な噂ってなんだよ(笑)」と問うと、女性は「友達も同じ手口に引っかかったって言ってましたよ。」と返した。

男性は、「いや、なにもしないよ?髪切るだけ。ほんとに髪切るだけだから。」と、必死の説得を繰り返していた。「髪切ったら帰るから」とか、「どうしてもお前の髪を切りたいんだよ」などと言っており、なんかもう、そんなに女性の髪を切りたがっているのは、それはそれで変態だろと思った。

 

男性は「美容師には髪を切らせるけど、俺には切らせないわけ?それって不平等じゃねぇ?」といよいよわけのわからないことを言い始めた。女性は「あはは(笑)◯◯さんおもしろいですね。まあ…たしかに不平等かも…(笑)」と言った。

 

結局、女性は男性の最寄り駅で一緒に降りていった。

 

もっと、必死に、生きろ、馬鹿野郎。