ペプチ

コント等をしています。(Twitter: @pepuchi_yan)

借りパクをしている人へ

ヤンキーばかりの中学校に、少数ながら優しい先輩がいた。僕は一人の気の優しい先輩と仲良くさせてもらっていた。この先輩は、仲良くしてもらっていてこんなこと言うのもあれだが、話し方がやや気持ち悪く、スクールカースト下位の先輩であった。でも、とても優しい先輩で、一緒にいて楽しかったので、よく一緒に話をしていた。

ある日、この優しい先輩にゲームを貸してくれと言われたので、僕は快く承諾した。一度クリアしたら貸すというような約束で、しばらくこの話は保留になっていた。

 

数日後、スクールカースト上位のヤンキーの先輩に、同じゲームを貸してくれと言われた。優しい先輩との約束から数日経って忘れていた僕は、このヤンキーにもゲームを貸す約束をしてしまった。

 

翌日、優しい先輩から「そろそろゲームクリアした?」と言われ、僕は一瞬にして絶望感を覚えた。その時に初めて、二重に約束をしてしまったことに気がついたのであった。

僕は、この優しい先輩に全ての事情を説明した。もちろん先約の優しい先輩に貸すべきであるが、ヤンキーの先輩との約束を反故にする恐ろしさは計り知れない。この優しい先輩とヤンキーの先輩は同学年なので、何か解決策を編み出してくれるのではないかと一縷の望みをかけていた。

僕が事情を説明し終わると、優しい先輩は、「はぁ?お前、ふざけんなよ。俺に貸せよ。」と言ってきた。ふざけてねえよ、と思った。

 

僕がどうすべきか決めあぐねていると、その場にヤンキーの先輩も現れた。優しい先輩は、ヤンキーの先輩に向かって「お前、ゲーム俺が先に借りる約束してたんだからな。俺が借りるぞ。」と言った。僕は、「ああ、二人でやりあってくれるとすごい助かる」、と思った。しかしヤンキーの先輩は僕に「お前、俺に貸してくれるって言ったよな?」と言って、僕を介してきた。この件は僕を介したら絶対に話が悪い方向にしか進まないと察した僕は、「先輩と最初に約束したんですもんね?」と優しい先輩に話をなすりつけた。これによって、ヤンキーの先輩と優しい先輩が「先にどっちが借りるか」を話し合う雰囲気になってくれるとすごい助かる感じだった。優しい先輩は、「お前、最初に俺と約束しておいてなんでこいつとも約束してんだよ」と再び僕を介してきた。やめろ。介すな。

 

結局、二人の先輩から嫌われてしまい、その後数日間、すれ違うときに舌打ちをされたり、校庭を歩いていると石が飛んできたりした。なぜか別のヤンキーの先輩も便乗して石を投げてきたりした。お前関係ないだろ、と思った。

 

ともかく、先輩との約束を忘れるというのは大変なことであるのだと、反省した。

 

最終的に、ゲームはヤンキーの先輩にあげることになった。貸すのでは、なく。