ペプチ

コント等をしています。(Twitter: @pepuchi_yan)

怖い話なので苦手な人は見ないでください

大学の頃の友達に、かなり不思議な空気感を持っている男の子がいた。「不思議ちゃん」という言い方も少し違うのだが、消え入りそうな声で話し、笑いのツボが少しおかしい、妙な空気感を持った男の子だった。

 

彼は特別な何かをもっていそうな感じがしたので、僕はよく彼に、生い立ちや好きな芸能人の話など、いろいろなことを質問していた。ある日、僕が彼に「幽霊とか見えるの?」と聞いたとき、彼は「見たことはないけど、ああ…えっと、この話はやめとく…」と言った。気になったので、何度も教えてくれるように頼んだが、頑なに拒否されてしまったのであった。

 

その後も数ヶ月間拒否され続けたが、卒業を間近に控え、「卒業する前にどうしても聞いておきたい」と彼にお願いしたところ、なんとか話してくれることになった。

 

これは彼が小学生の頃の話だそうだ。

その日、彼はいつものように塾から帰り、ビデオに録画していたテレビ番組を観ようとしたという。外は雨が降っており、家には誰もいなかった。それまで霊的な経験をしたことのない彼であったが、どこか嫌な予感がしつつ、ビデオを再生したそうだ。

再生された画面には、ただ真っ黒な映像が流れていたという。録画に失敗したかな、と思って落胆した彼は、ふとあることに気がついた。真っ黒な画面の真ん中に、白くユラユラと何かが揺れていたそうだ。気になってじっとその白い物体を眺めていると、どうやらその白い物体はこちらに近づいてきているようであった。少しずつ、その物体が近づいてくるにつれて、物体の形状が明らかになってきていた。

その白い物体は、人の手であった。真っ白な人の手が、何か白い紙を持って、ユラユラと揺れながらこちらに近づいてきていたそうだ。

真っ白な人の手が持っている白い紙には、何か書かれているようだった。彼は目を凝らし、書かれている内容を探った。

徐々に近づき、次第に大きくなる真っ白な人の手が持っていた紙には、「死」とだけ書いてあったという。

怖くなった彼は、急いでテレビを消し、帰宅した母親にそのことを話した。母親は何かを察したように、「このことは誰にも言わないように」とだけ言ったそうだ。

 

なんだその話、ふざけんな。こわいわ。と思った。