音楽の先生が発狂した話
ヤンキーが多かった僕の中学校では、同級生もヤンチャな人が多かった。
ある日の音楽の授業中、同級生の男子二人が何やら騒いでおり、見かねた音楽の先生が注意した。
男子二人は、「机の上に鳥の糞らしきものが落ちていて、それの処理方法について議論していただけだ」と笑いながら主張した。
先生は彼らの態度にブチギレて発狂し、「授業中にうるさいんだよ。教室の中なんだから鳥の糞なわけないだろ。なんだ、ここは青空教室か。」と言った。なんで真剣にブチギレている最中に「青空教室か」などと突然のユーモアを交えてくるんだよ、と思った。先生の怒りはおさまらず、「本当に鳥の糞だったら私が素手でもなんでもつかんで捨ててやるよ。」とも言っていた。どういう怒り方なんだと思った。そして、先生はその白い物体が鳥の糞であるかどうか確認することなく、ティッシュペーパーで拭き取って授業を再開した。鳥の糞かどうか確認せずティッシュで拭き取るなら、さっきの発言意味あったのか、と思った。
叱られて懲りたと思っていたこの悪ガキ二人組であったが、その数日後、休み時間に食堂でふざけていた拍子に、消火器をぶちまけてしまっていた。食堂は消火器の粉まみれになり、とても食事ができる場所ではなくなってしまった。僕たちの学年では、全員で清掃作業が行われることになり、彼らはまたも先生にこっぴどく叱られてしまった。
とまあ、こんなふうに、この悪ガキ二人組は在学中何度も先生に迷惑をかけていたようだった。この二人はとてもヤンチャだったので、先生に叱られようとも反抗的な態度を取り、後日改めて悪さを繰り返すのであった。
時が経ち、成人式で彼らに再会できることになった。ヤンチャだった彼らは、先生に迷惑ばかりかけていた彼らは、一体、成人を迎えてどのような人になっているのだろうかと僕は楽しみだった。
二人は、学校の先生を目指していた。
ベタか、と思った。