ペプチ

コント等をしています。(Twitter: @pepuchi_yan)

漏らした話なので見ないでください

この間知り合いと遅くまで飲んでいたら終電がなくなっていた。知り合いは、翌日朝早いのでタクシーで帰ると言ってタクシーを探していた。

僕は歩いてもなんとか帰れるので歩こうと思ったが、せっかくなので家に少し近い新宿あたりまでタクシーに同乗させてもらい、そこから歩いて帰ることにした。

 

タクシーに乗る前から嫌な予感がしていたのだが、タクシーに乗った瞬間、激しい便意に襲われた。いきなり漏らすと知り合いがびっくりしてしまうと思ったので、礼儀として、僕は彼にうんこが漏れそうであることを伝えた。何度か便意の波が押し寄せ、その度に彼には礼儀として漏れそうであることを伝えたが、僕はなんとか人間としての尊厳を保ったまま新宿駅に着くことができた。漏れそうであることを伝えた時点で人間としての尊厳もクソもないだろうと思う人もいるかもしれないが、それは間違いである。あと、ここでいう「尊厳もクソもない」の「クソ」は、読んで字のごとく糞のことである。尊厳を取るか糞漏らしを取るかという話である。

 

これは後日その知り合いに聞いた話だが、僕がタクシーを降りたあと、運転手さんが彼に話しかけてきたのだという。運転手さんは、「ご友人の方、漏れそうにしてましたけど、大丈夫でしたかね?」と僕を心配してくれていたそうだ。彼は、「まあ、いつものことなので大丈夫ですよ。」と返した。すると運転手さんが、「そうなんですか。実はね、私も、割とうんこを漏らしてしまうんですよ。」と突然のカミングアウトを始めたらしい。知り合いはこの時点でかなり引いていたのだが、平然を装って「ああ、タクシーの運転手さんですから、お客さん乗せたりしてるとお手洗いとか行けないですもんね。」と返した。運転手さんは、「あっ、いえ、仕事中は漏らさないんですが、なんでもない時に漏らしてしまうんですよ。」と言った。なんでもないときに漏らしてしまうならもうただの変態ではないかという感情を抑えながら、知り合いは黙っていた。そしてその後、運転手さんのうんこを漏らしたエピソードを延々と聞かされたそうだ。初対面の人からうんこを漏らした話を聞かされる気持ちは、おそらく地獄の苦しみであっただろうと思う。

 

この話とは関係ないが、この間居酒屋で小便をしている最中に、僕は、完全なるうんこを漏らした。完全なる、うんこを。

見知らぬ老婆と仲良くなったのに、まさかあんなことに

小学生の時、友達と下校中に道端で倒れこんでしまっているおばあちゃんを見つけた。つらそうな顔をしていたので、大丈夫ですかと声をかけてみると、「情けないねえ、足腰が弱っているから、倒れてしまってねえ」と言われた。僕たちはおばあちゃんを起こして、肩を支えながら家まで送り届けてあげることにした。家についたおばあちゃんは、僕たちに何度もお礼を言い、「せっかくだから上がっていきなよ」と言ってお茶を出してくれた。「それは悪いよ」と僕たちは断ろうとしたのだが、おばあちゃんがどうしてもと言うので、僕たちも一杯だけもらうことにした。

話によると、おばあちゃんはその家に一人暮らしなのだという。子どもは都会に出て行ってしまい、夫も亡くなったので、今ではこうして一人で寂しく暮らしているそうだ。足腰が弱ってしまい、外に出ると倒れこんでしまうこともしばしばあるのだという。僕たちは心配になり、「おばあちゃん、足腰が弱いなら杖とか使ったほうがいいと思うよ。」と言った。おばあちゃんも優しい顔で、「そうだねえ。そうするよ。」と言って、約束をしてくれた。

結局その日は、一時間ほどおばあちゃんと楽しく話して、僕たちは帰ることにした。別れ際も、おばあちゃんは優しい笑顔で「今日は本当にありがとねえ。みんなが来てくれて楽しかったよ。おばあちゃん寂しいからさ、いつでも遊びにおいでね。」と言っていた。

 

数日後、僕たちはおばあちゃんが元気で暮らしているか気になったので、再びおばあちゃんの家を訪れることにした。訪ねてきた僕たちを見たおばあちゃんは、とても嬉しそうな顔をして、「上がっていきなよ」と言ってくれた。僕たちは遠慮したのだが、おばあちゃんが寂しそうな顔をするのが気の毒で、少しだけお邪魔することにした。

おばあちゃんは、杖を買っていた。「おばあちゃん、杖使うようにしたんだね。」と言うと、「みんなが言ってくれたからね。買ってみたんだよ。歩きやすくていいねえ。」と答えてくれた。

この日、おばあちゃんは、僕たちにカレーをごちそうしてくれた。「毎日一人でごはんを食べるのが寂しくてねえ。誰かと食べるなんて何年ぶりだろうねえ。嬉しいよ。」と言いながら、嬉しそうにカレーを食べていた。一時間ほどおばあちゃんと談笑し、僕たちは帰宅した。

 

その後も数回、僕たちはおばあちゃんの家に遊びに行った。おばあちゃんはその度に嬉しそうな顔をした。帰り際になると、寂しそうな顔をして、「また遊びにおいでね」と言ってくれるのだった。

おばあちゃんと本当に仲良くなった僕たちは、おばあちゃんのことを本当に大切な存在だと思っていた。ずっと元気でいてほしいと思っていた。

 

そんなある日の朝、学校で先生が「ちょっとみなさんにお話があります。」と神妙な面持ちで話し始めた。先生は、「最近、このクラスに、近所の一人暮らしの方の家に勝手に上がりこみ、ヌケヌケとごはんをご馳走になり、平然と一、二時間居座る生徒がいるそうです。その方から学校に連絡があり、迷惑だからやめてくれと言われました。犯人探しはしませんが、自覚のある人は即刻やめてください。」と言った。

 

僕たちの中でおばあちゃんは、「クソババア」と呼ばれるようになった。

近所で繰り広げられた銃撃戦

今日部屋にこもって作業をしていると、夕方ごろ外からなにやら賑やかな音が聞こえてきた。どうやら近所でお祭りが行われているらしく、普段は閑静な住宅街なのだが、相当に騒がしかった。

 

お祭りではカラオケ大会みたいなものが催されており、おどるポンポコリンのイントロが流れてきた。正直作業しているので邪魔といえば邪魔だったが、不朽の名曲おどるポンポコリンだったので自然と耳を傾けてしまった。イントロが終わって聴こえてきたのは、子どもたちの歌声だった。友達みんなでエントリーしたのだろうか、かわいらしい歌声が聴こえてきたが、特に微笑ましくはなかった。

一番を歌い終わり、わずかな間奏が流れる。その後、子どもたちは、何を思ったのか、もう一度一番の歌詞を歌い始めた。怖かった。どうして一番で既に伝えたメッセージを、もう一度伝えたいと思ったのだろうか。二回もおなべの中からインチキおじさんに登場されるとちょっと気持ち悪かった。エジソンが偉い人なのも、そんなに何回も言われると嘘くさくなるぞと思った。

 

悶々とした感情のまま歌は終わり、再び静かな時が訪れた。しばらくすると、外で男の子たちが遊んでいる声が聞こえてきた。その声とともに、「パンッ!パンッ!」という発砲音が近所に響き渡っていた。音が鳴る鉄砲のおもちゃであそんでいるらしい。小さい頃はよくこのしょうもないおもちゃで遊んだものだと懐かしんでいると、外の銃撃戦が激しさを増してきた。始めの頃は「待て!打つぞ!」みたいな男の子の声も聞こえていたのだが、次第に発砲音のみがこだまするようになっていった。

「パンッ!パンッ!パンッ!…パンッ!…パンパンッ!パンッ!パンッ!パンパパンパンパンパンッ!パンッ!パンッ!パンッ!」と発砲音だけ聞こえるのが、めちゃくちゃ怖かった。外に出て男の子たちを少し見に行ってみたら、ただただ真顔で銃撃戦を繰り広げていた。

 

祭りの最後は主催者らしき男性が「ありがとうございました〜」と挨拶をして、ベロベロに酔っ払った声でZARDのマイフレンドを歌って終わった。これだけは、なんか、多幸感がすさまじかった。こうしてたまに大人が全部忘れてくたくたに遊んでるのが、なんか幸せそうでよかった。同時にクソしょうもねえなとも思った。

キャバクラに行きたい

僕は田舎に住んでいたので、保育園に通っていた頃も周りを見ればヤンキー予備軍みたいな人が多かった。

 

ある日僕が一人で砂場で遊んでいると、上の学年のヤンキー予備軍の女子二人が、落とし穴を作ろうとしていた。話を聞いていると、どうやら好きな男の子を落とし穴に落として、驚く顔が見てみたいということであった。好きな子をいじめてしまうというのは幼い頃によくあることだが、「驚く顔が見てみたい」というのは屈折した感情だなと思った。

その女子二人はまず、落とし穴の作り方を先生に聞きに行った。満足気な表情で戻ってきた彼女たちは早速穴を掘り始め、砂場にはまあまあ大きな穴が完成した。この二人が落とし穴に落とそうとしている男の子は、上の学年のヤンキー予備軍で普段から弱い者いじめを働くやつだったので、僕は是非このいたずらを成功させて欲しいと願いながら見守っていた。

 

穴を掘り終えて一息ついた彼女たちは、「よし、あとは隠すだけだべ」と言い、どういうわけか、穴を埋め始めた。意味が全く分からなくて怖かった。

どうやら教えられた落とし穴の作り方を勘違いしているようであったが、さすがに分かるだろと思った。たったいま掘ったばかりの穴を埋めている彼女たちは、とても情緒不安定に見えた。

ついに彼女たちは、穴を埋めつくしてしまった。そして、「あとは葉っぱで隠さないと。」と言い放ち、どこからか集めてきた葉っぱを散りばめて、埋めた穴を隠していた。

 

葉っぱが落ちているだけの砂場を完成させた彼女たちは、やりきった表情でお互いの顔を見合わせていた。そしていよいよターゲットのヤンキー予備軍を呼びに行こうかという時、彼女たちが一瞬立ち止まった。そして、「これ、なんて言って踏んでもらったらいいんだろう。ここ踏んでよって言ったらわざとらしくね?」と言った。そこまで頭が回るならどうして、と思った。彼女たちは、「この上にさ、砂でケーキ作ってさ、かわいこぶって『ケーキ作ったよ!』とか報告すれば、あいつ嫌なやつだから踏み潰してくれるべ。」と、女性の恐ろしさを垣間見せる作戦を立てていた。

ケーキを完成させた彼女たちは、満を持してターゲットを呼び、ケーキの完成を披露していた。ターゲットのヤンキー予備軍は、狙い通りケーキを踏み潰して、帰っていった。彼女たちは、ただただ放心状態になっていた。

 

彼女たちは、今、地元のキャバクラで働いている。

しょくぱんまんの中に潜むサイコパス性

この間アンパンマンを観ていたら、しょくぱんまんが出ていた。

しょくぱんまんタンポポちゃんというキャラと仲良くしていたらドキンちゃんが嫉妬し、タンポポちゃんを拘束してしまうみたいなサイコホラー作品だった。

子どもの頃から観ているが、しょくぱんまんが登場する回にはサイコホラーな作品が多い。お腹がすいた子どもにアンパンマンは顔をちぎってあげるのに対し、しょくぱんまんは顔を太陽の熱で焼いたうえでスライスしたものをあげるという気持ちの悪いやり方を好む。

 

話がそれたので戻そう。この話の中で誰が悪いって、もちろんドキンちゃんが悪いのだが、諸悪の根源はしょくぱんまんだと思う。しょくぱんまんドキンちゃんに対し思わせぶりな行動をするにもかかわらず、ドキンちゃんの好意に対して常に曖昧な態度を取っている。微塵も可能性がないならさっさと引導を渡せばいいものを、自分に好意を寄せてくれているのをいいことに、キープしているつもりなのかもしれない。モテキ長澤まさみ氏演じる松尾みゆきを彷彿とさせる悪どさだ。ドキンちゃんの気持ちを全く考えていない。かわいそうなドキンちゃん

ちなみに、ばいきんまんドキンちゃんのことが大好きである。これはアンパンマンの公式ホームページにも記載されている事実だ。そう考えると、なんだか切ない気持ちになってくる。と同時に、ばいきんまんは一途にドキンちゃんを追いかけているのに、しょくぱんまんの性悪っぷりときたら何だと腹立たしくなってくる。

 

僕は、子どもの頃からこのしょくぱんまんという男がいけ好かない男だと思っていた。彼は何か綺麗なものを見た時に、「私のように美しい」などとギリシャ神話みたいなことを言い始める。ふざけた野郎だ。調べてみると、どうやら彼は、顔が汚れると力が出なくなるだけでなく、ナルシストが高じて服が汚れても力が出なくなるらしい。そこまでいったらもうただのワガママじゃねえか。

 

結局、この話では、ドキンちゃんタンポポちゃんに変装し、その間しょくぱんまんは変装に気づかずデレデレと交流し、女たらしっぷりを発揮したのだ(本物のタンポポちゃんを救い出したのもアンパンマンである)。非常に腹立たしい。

非常に腹立たしいが、現実でも、こういうやつが、モテる。誰か、助けてくれ。

わずかに下衆な話題を含みますのでご注意ください

大学の頃の知り合いに、Mという変な奴がいた。初めて会った頃の彼はとても素直で、おとなしくてとても親しみやすい人だった。

 

しかし彼の本質は、もっと狂ったところにあった。

出会って何ヶ月かしたある日、彼の体臭が少しきつかった。僕が「くさいな」と言うと、彼はお風呂に入っていないのだと自白した。ちょっと事態がうまく飲み込めなかったので、どうしてお風呂に入っていないのか深く聞いてみた。いわく、お風呂に入るのが面倒なのだという。気持ちは分からなくもないが、お風呂は入ったほうがいいと勧めると、彼は「その感覚はよく分からない」と反論してきた。彼は続けて、「だって、生まれてからずっとお風呂に入っていない人がいるとするじゃないですか。その人が、風呂に入らずにそのまま死んだら、もう"勝ち"だと思うんですよ。」とわけの分からないことを言ってきた。世の中にはファンキーな野郎がたくさんいるものだと思った。

 

彼は風俗がとても好きで、よく風俗に通っている。しかしアルバイト等でお金を手に入れることをめんどくさがって節約をしたがるので、学割が使えるらしい朝五時に行くのだという。どう考えても朝五時に全力で風俗に挑むことは不可能だと思うのだが、頑張って起きて足しげく向かっていたそうだ。不気味だなと思った。

 

彼は昔、初対面の人に「今の名前は『しょうた』だが、本当は『ソタ』という名前で、自分は日本に帰化した外国人なのだ。」という意味不明の嘘をつく癖があった。しかも、それを嘘だと言わないので、嘘をつかれた人はいつまでもそれを信じていた。気持ちの悪い癖だなと思う。

男子小学生と女子中学生

この間、最寄りの駅のホームで電車を待っていた。近くに踏切があり、電車の接近に合わせて警報機が鳴っていた。すると、隣にいた小学校低学年くらいの男の子が、警報機のカンカンカンカンという音に合わせて、「カ〜ンカ〜ンカ〜ンカ〜ン」と言いながら白目をむいて踊り始めた。警報機でビートを刻む子どもを初めて見たので、めちゃめちゃおもしろかった。

お母さんらしき人が「あんた何してんの」と何度言っても、彼は白目をむいて半狂乱になりながら踊り続けていた。母親の指摘を無視して踊り続ける姿はどう考えても狂っていて、僕は笑いをこらえるのに必死だった。お母さんは彼のセンスに気がついていない様子で、ただ淡々と「あんた何してんの」と繰り返していた。その画もおもしろかった。

 

そのあと電車に乗った僕は、車内がすいていたので席に座った。隣には、中学生くらいの女の子が座っていた。彼女はうつむいて睡眠をとっており、駅に停車するたびに現在の駅がどこかを確認していた。数分後、電車が停まると、彼女が慌てて飛び起きて降りていった。目的の駅に着いたらしい。彼女が座っていた席には後から乗ってきた若い男の人が座った。その数秒後、彼女が慌てて再び電車に乗り込んできて、若い男の人に謝りながら自分の座っていた座席の下をまさぐっていた。どうも忘れ物をしたらしく、奥の方に手をつっこんで必死で忘れ物を取り出そうとしていた。彼女がほっとした表情で座席の下から取り出したのは、ハイチュウだった。狂ってるやつが、多いな。